車フォルダの構造

いよいよ、Racerの仕組みに関する部分の解説に入っていきます。まずはそれぞれの車のフォルダがどんなファイルから成り立っているのかということなどについて。

フォルダ内のファイル

デフォルトで入ってる車、ランボルギーニのムルシエラゴのフォルダ構造を例にしていきましょう。なお、拡張子が.bakのファイルはたいていはその車の作者がバックアップ用に作ったファイルなので、気に留めなくてよいでしょう。

フォルダ内にあるファイルの種類は、大体こんな感じになってます。フォルダの中のファイルを種類順に整列させておくと見やすいです。

  1. .dofファイル
  2. .tgaファイル
  3. .shdファイル
  4. .arファイル
  5. .crvファイル
  6. views.ini
  7. car.ini

.dofファイル

これが車の3Dモデルのファイルです。Zmodelerというフリーの3DCG製作ソフトで扱うためのファイルであり、これ以外で.dof形式に対応しているソフトは他には無いようです。他のソフトで作ったデータをZmodelerでdofファイルに変換するという使い方もできます。

このファイルの中には、3Dモデルのデータだけでなく後述するテクスチャデータについての情報なども記述されています。Racerのグラフィック面において中心となるファイルと言っていいでしょう。

.tgaファイル

耳慣れない拡張子ですが、ただの画像ファイルです。対応している画像ビューア(Vixなど)を使えば普通の画像と同じように見ることも出来ます。ただ、tgaファイルはJPG画像やBMP画像とは違い、アルファチャネル(透過度を表すためのチャネル)を含んでおり、うしろが透けて見えるような画像をつくることができます。アドビのフォトショップを使っている人ならわかると思いますが。

このファイルは主に3Dモデルに貼り付けるためのテクスチャデータとして使われます。

たまに、テクスチャファイルとしてbmpファイルが使われることもあるようです。

.shdファイル

このファイルはRacerのベータ0.5.2から導入されたShaderシステムで利用するためのファイルで、このファイルが用意されていない無い車をベータ0.5.2以降のRacerで動かすと車のボディーが透けて表示されてしまうことがあります。

多くの場合、シェーダーファイルは「car.shd」というファイル一つになっています。中身はなんのことはないテキストデータですので、多くのテキストエディタで読むことが出来ます。このファイルの中にはテクスチャに対してかけるさまざまな効果(エフェクト)を設定できるのですが、基本的には透過率(光の透け方)や反射の具合(テカテカしてる感じ)などを指定するファイルだと考えればいいと思います。

このシェーダーというシステムはQuake3(名作パソゲー「Quake」の3作目)に使われて有名になったものらしく、より高度な表現を可能にすると共に3DCGの描画を速くすることもできるようです。

.arファイル

arファイルにはプロテクトがかかっているため、中は読めません。このファイル形式を使うと、中にいくつかのファイルをまとめることができるため、いじって欲しくないファイルを保護したいときにも使える形式だそうです。これを使うとロードも早くなるとか。

この形式のファイルが入っているデータの場合、たとえば車体の3Dモデルなどがこのarファイルの中に格納されていることが多いです。

.crvファイル

crvとは「curve」(曲線)の略です。その名のとおり、このファイルの中にはある曲線グラフのデータを保存することが出来ます。

ほとんどの場合はエンジンのトルクの値をグラフにしたデータを保存しておくのに使われています。エンジンというのは、回転数によって回転力(トルク)がちがいますから、横軸に回転数、縦軸にトルクを記録したグラフがこのファイルに保存されているというわけです。いわゆる「エンジン性能曲線」ですね。.crvファイルにはブレーキなどの効き具合の特性を記録することも可能です。

views.ini

.iniファイルは「メモ帳」などのテキストエディタで直接開けます。views.iniでは、画面上に表示するべき計器類やラップタイムの位置などを指定します。視点によって計器の見え方が変わるようにしたいときは、計器類の位置や表示の有無の組み合わせに名前をつけ、その名前で呼び出してやります。

car.ini

これもiniファイルです。car.iniには、車の物理的な特性に関するほぼ全てのことが記述されます。車の名前と作者名や、エンジン音などの音声ファイルの指定、dofファイルの指定も全てこのファイルのなかにあります。

車のセッティングを変えたいときはこのファイルを調整することになります。調整できる項目は無限に思えるほどあります。実車にある要素は全てあるといっても過言ではないぐらいです!くわしくは「Car.iniのいじり方」をご覧ください。


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